最終回:乳育児を成功させる為の"いい病・産院を選ぶ4つの目安"後編

乳育児を成功させる為の”いい病・産院を選ぶ4つの目安”後編

 「母乳育児が成功するか否か」はどんな病院・産院で出産するかによって大きく左右されています。
 母乳育児を成功させる為に”いい病・産院を選ぶ目安“として1・出来るだけ母子同室の病・産院で2・出産直後~30分以内に授乳出来る病・産院を紹介しました。 今回は残りの2つを紹介致します。


3・安易にミルクを与えない病・産院
 母乳だけで育てたいと思っていても、時間毎に全赤ちゃんへ糖水やミルクを与えるという病・産院もあります。それらを飲んだ分、赤ちゃんは母乳を飲んでくれません。産後数日間、母乳が沢山でる人は少ない様ですが、赤ちゃんはお腹の中で「水分と栄養」を蓄えて産まれてくる為、母乳が出るのを待つ事が可能なのです。(産後は1日に何回もおっぱいを吸わせる事が必要です)
 母乳を出す為に、産後1週間は大変重要な時期。特別な医学的問題が赤ちゃんに起きない限り、母乳だけで育てる事を見守り、励ましてくれる医師や助産師がいる病・産院を選びましょう。

4・出来る限り、自然分娩で
 妊娠・出産は病気ではなく、自然な生理的営みです。母乳育児もその一連の流れの中にあります。
 出産時に使う薬によっては、その後の母子のリズムを崩し、スムーズな母乳育児のスタートが出来にくくなる事もある様です。出来る限り促進剤等の薬を使う事なく、「自然分娩」を方針に挙げている病・産院がいいでしょう。
 それからバースプラン(「出産計画・出産計画案」の事。どんなお産がしたいのか、赤ちゃんをどのように育てたいのか、病・産院にして欲しい事、して欲しくない等を書き出します)を病院に出してみましょう。出来るだけ希望が叶うように努力してくれる医師や助産師を選びたいものです。
 勿論自然分娩を希望していても、実際の経過や赤ちゃんの状態等により希望が叶わない場合もあります。
 もし自然分娩が出来なかったとしても、母乳を出し、飲ませる事は十分可能ですので心配ありません。

 出産の施設選びは、母乳育児のスタートに大きく影響を与えます。十分に情報収集をし、話を聞いて納得し、信頼出来る医師と助産師の下で安心して出産出来る施設を選んで頂きたいと切に思います。

参考文献
●母乳の方が楽だった?!
おっぱいでらくらくすくすく育児
著/金森あかね監修
発行者/北野寿美代著
発行所/メディカ出版

●改訂版 だれでもできる母乳育児 
著/ラ・レーチェ・リーグ・  インターナショナル
発行者/長谷川素美著 発行所/メディカ出版

あとがき
 今回、一区切りする「妊娠・出産~」ですが、まだまだ伝えたい事や知って欲しい事は沢山あります。
 最近は特に、「子育ては想像を絶する程、大変である」と言う事実を、「将来母になる女性達」に理解しておいて欲しいと強く思います。
 というのもここ数年、初産の母親達の話を聞く事が多く、共通して「ここ迄大変とは…想像を超えていた」という言葉を聞きます。中には「分かってるけど、ぐずった時に叩いてしまう」と吐露する方も。
 私もそうでしたが、「出産、子育てなんて未知の世界」であり、人から聞いても予想何て出来るはずもなく。
 想像以上の大変さ、きつさに心の余裕がなくなり、「何で泣くの??もう嫌!!」「自分の時間が全くない!」と不満が積もり、「育児ノイローゼ」気味になってしまう方も少なくありません。
とても悲しく、辛い話です。
 産後は昼夜関係なく授乳をしなければなりません。当然、母親は慢性的な寝不足になります。これが3ヶ月間、毎日続くのです。ぐっすり眠れない事での心身疲労は、想像を絶します。 故に家事を完璧にこなしたり等、普通はできません。
 しかし、夫や祖父母等家族が協力してくれるか否かで、母親の心身状態は大きく変わります。
 可能なら、産後最低3ヶ月(本当は8ヶ月~1年)は実家で過ごせるのなら、是非そうして頂きたい。それ程、母親の負担は大きいのです。
 「自分の時間が全くない」についてですが、妊娠する前迄にやりたい事は済ませておく事をお勧めします。私の場合、独身時代から興味がある事は全てやって来たせいか、結婚&出産後に「自分の時間がない!」と不満に思う事はそうなく(寝不足がキツかった為、昼に婆や夫に子を預け、寝させて貰っていたのが唯一かな)、むしろ一人になると寂しい(笑)。
 出産後に自分や夫婦だけの時間を作る事は困難ですが、周囲の協力の下、上手く気分転換をしている方も多いもの。出産前に夫やご家族と話し合う事もお勧めします。
 母親が孤立せず、周囲のサポートを受けて、子に愛情をたっぷり注ぎながら母乳育児を行っていけば…虐待やキレる子供も減っていくのだと信じています。
 子供を持つ事に不安を持つ女性も多い様ですが、大丈夫ですよ。 だって30年以上、”子供に興味がなかった私“ですら、母乳育児によって「5人位子供欲しい!」と言う迄変わり、自他共に驚愕しているのですから(苦笑)。  子育ては、間違いなく「想像を絶する大変さ」があります。ですが、それすらをも優に越す楽しさや喜び、感動。子供から得る「純粋で無償の愛」や自分でも知り得ない「慈愛」という、言葉では説明出来ない感情や思いの存在等が無限にあるのです。確かに大変だけれども、かけがえのない様々が子育てにはもれなく付いてくるという事実も、知って頂きたい事の一つです。
 長くなりましたが、ずっと読んで頂いた読者様、有難うございます。 出産や子育ての疑問・悩み等ありましたら、お気軽にメール下さい。極力、お力になりたいと思っています。それでは、又お会いする時まで。    (*にーにゃ編集長jeek)

2009/07/08