取材陣(以下、取)／早速ですが、これらの違いは何ですか?

原口先生(以下、原)／はい、簡単に分けると「整形外科」は、主に、人体の運動器官の病気や損傷を治療する診療科です。
先天的な筋骨の異常はもちろんですが、脊椎（頸椎・胸椎・腰椎）や関節の疾患、打撲・捻挫・脱臼・骨折等の筋肉や骨の損傷といった、人間が日常運動する上で支障となる疾患の機能的改善がメインです。
「形成外科」は、主に、身体外表の醜状（色の変化、形の変化)を外科的に治療する診療科です。
先天性異常、外傷、腫瘍等、体の表面部分の機能や形態に異常のある部分を元に戻すといった「再建外科」がメインです。
又、美容外科もその多くは形成外科の対象の一つです。
又、対象部位によっては形成外科が骨を扱う場合もあります。
例えば、頭の骨は脳外科や形成外科が、顔の骨は形成外科が取り扱います。

取／そうなんですね。初めて違いを理解しました。
美容外科は、形成外科の一分野なのですね。ちなみに美容外科の定義を教えて下さい。

原／病気や怪我でないものを“より良い方へ治療する”のが「美容外科」です。
元が病気や怪我ではないので保険対象外になりますが、再建外科として行う治療法と殆ど同じ内容の手技を行う事になります。
ただ病気と違って緊急性がないので手術を受ける前に良く考えて行う事を勧めます。

取／となると、美容外科には形成外科の技術とトレーニングが必要と言う事ですから、形成外科医に美容外科手術をしてもらった方が安心ですね。
“形成外科出身の美容外科が上手い”と聞いた事もあります。

原／特に再建外科はいかに綺麗に修復するかが重要ですから、傷跡の目立たない縫合や治療方法が基本ですし、何かあった場合に、再建＝修正に強い形成外科医は安心だという事を考えると、少なくとも形成外科の専門医資格を持っている先生が安心でしょう。
しかし、近年の美容外科は外科的な治療ばかりでなく、注射や薬等での診療もありますので、内科や皮膚科出身といった美容外科医も多くいます。

　
又、治療部位によっては、眼科や泌尿器科等といったその部位を得意とする医師の方が良いという場合もあります。

　
形成外科が美容外科の全てを担っている訳ではありませんので、自分の希望する部位や治療法を考えて複数の病院の中から自分に合った病院を選ばれると良いと思います。

取／なるほど。今回も興味深いお話でした、ありがとうございました。
先天性異常については次の機会に改めてご紹介したいと思います。

次回は、先月福岡で発生した「美容外科クリニックでの死亡事故」について先生にお聞きします！