取材陣(以下、取)／まず、授乳後の胸の悩みで多い相談は何ですか?

原口先生(以下、原)／順に乳房下垂、左右非対称（左右の胸の大きさの差）、乳頭肥大等が挙げられます。

取／ではまず、乳房下垂について教えて下さい。

原／授乳の時には、乳腺が発達して大きくなり、それに合わせて皮フも張って伸びてきます。やがて授乳の必要が無くなると乳腺は萎みます。しかし、皮フの方はそれと同じ様に萎んではくれません。中身が減ったのに皮フは伸びているので垂れてしまう訳です。この様に授乳や加齢等で乳房が垂れてしまった状態を乳房下垂といいます。
　この乳房下垂には、乳首の高さによって軽度から重度迄段階があり、それぞれで治療方法が違ってきます。

• 軽度／乳輪移動･･･乳輪から上部に渡って皮フを切り取り、上にずらして縫合する方法。
• 中等度／乳房固定術･･･乳輪の上部に同じ様に丸く皮フを切り取り、乳輪をそこへ移動させ、脂肪・乳腺組織を上部に縫合固定する方法。
• 重度／乳房縮小術･･･乳輪を上部に移動させるだけでなく、乳房の下方をピラミッド型に切除して上に持ち上げて縫合する方法。

　より形よく前向きな胸にする為に、これらの乳輪移動と合わせて胸内部で縫い合わせ、引っ張り持ち上げる処置をする事が多いです。
　また、外国の方や乳房の大きい人は中身（脂肪や乳腺）も大きく垂れている事が多い為、その場合は乳腺や脂肪を同時に除去する乳房縮小術を併用する場合もあります。逆に小さかったりハリの足りない場合等には、シリコンバッグを入れる豊胸術（*にーにゃバックナンバーNO.59 NO.60 NO.61をチェック）を併用する事もあります。（※豊胸術費用別途必要）
　左右非対称の胸の治療の場合も同じ様に、小さい方の胸を豊胸術で大きくする方法、もしくは大きい方の胸を乳房縮小術で小さくする方法で大きさを揃える治療をします。
　よって乳房下垂は、垂れの状態（垂れ具合や大きさ、ハリ等）を診察した上で上記の方法を組み合わせて個人個人の胸に合った治療を行っていきます。
　ほとんどのケースは局所麻酔下手術が可能で日帰り手術です。手術内容にもよりますが、軽度の場合で両胸／約1時間程度、重度の場合で両胸／3～4時間程度の手術になります。
　・・・の施術は乳輪に沿って縫いますし、その他の切開部分も乳房の下の方なので部位的にも目立ちにくく、傷痕は徐々に薄くなって行きます。また術後、胸部の広い範囲でしびれた感覚が残りますが、日が経つにつれて改善して行きます。入浴に関しては、術部が濡れない半身浴なら翌日から可能です。

取／では、術後の経過について教えて下さい。

原広い範囲での手術ですので、血が溜まって紫色になったりシコリになる可能性があり、また重みがかかるため傷口が広がりやすい部分なのでアフターケアは重要です。まず、手術翌日に血が溜まっていないか診察をし、1週間～10日後の抜糸迄は包帯とガーゼでさらしを巻いた様な状態にしてしっかりと圧迫して血腫や傷の広がりを防ぎます。その後も1ヶ月後3ヶ月後と経過観察を行い、場合によっては術部に肌色の絆創膏を貼る・ステロイド軟膏や抗アレルギーの薬を処方する等して傷痕の広がりや盛り上がりを防ぐ処置をします。

取／手術さえすれば、きれいな胸になる」という訳ではなく、術後のアフターケアがきちんとなされてからこそ、なのですね。
　次回は、「乳首の変形」（乳頭肥大・乳頭の垂れ・乳首・乳輪の色）についてお伺いしたいと思います。
　今回もありがとうございました。

（原口クリニックの場合）

・乳房下垂……840,000円
・乳房縮小術……1,050,000円
※初診料は1,050円です。