取材陣(以下、取)／まず、陥没乳頭とは、どの様なものですか？

原口先生(以下、原)／乳頭が乳輪の中に潜り込んだ状態のものを言います。この原因は乳管の短縮によると言われていますが、その程度も様々で、指でちょっと刺激すると出てくるごく軽度のものから乳頭発育不全を伴う重度のものまであります。　
　
陥没乳頭のデメリットは、授乳が難しい～出来ない・授乳中でなくとも乳腺炎を起こしやすい（乳腺から乳汁等が分泌され、詰まって炎症を起こす）等の病的要素と、入浴の時に気になる等のコンプレックスによる精神的要素があげられます。
　
軽度の場合は、炎症を起こす可能性も低いですし、授乳も問題ない場合が多いので治療しない方も多いです。また、搾乳器を半年くらい使用して訓練すると治る場合や、乳房が小さい方では豊胸手術（*にーにゃWEB vol.17～19「胸」豊胸出術をチェック）で治る場合もあります。
　
軽度でも形が気にる、また、症状が重度の場合は手術になります。手術方法は、症状により様々ですが、大きく分けると3パターンです。

１．刺激をすると出てくるが普段は乳首が平ら・膨らみが少ない／手術時間(片側)15～20分。
　乳首の基部に3か所Z字型に切り込みを入れ、2つの三角部分を入れ替える事で乳首を上に持ち上げ、基部を巾着様に縫い縮める。

２．引っ張ると持ち上がるが　離すと引っ込む／手術時間(片側)20～30分。
　乳頭部分に切り込みを入れ、乳管を引き伸ばしながら上に持ち上げて、その状態で縫い合わせ癖づける。

３・引っ張っても持ち上げられない（乳管が短く引っ張っている）／手術時間(片側)30～40分
　乳頭部分に切り込みを入れ、中央部分の乳管を切断。切り離した部分を持ち上げ、両側から縫い合わせて固定する。
　

　
いずれも局部麻酔の日帰り手術です。乳首が戻らない様に周りにガーゼを当てて固定する場合もあります。手術翌日から患部を濡らさない様にシャワーや半身浴が可能です。その他の日常生活も問題ありません。

取／日帰り手術で治せるのですね。その後の傷痕の状態や、授乳に関してはいかがですか？

原／手術個所は、しばらくは縫い合わせ部分が硬くなり違和感がありますが、数カ月経つと硬さも取れキズも目立たなくなります。
・・は、授乳の問題はありません。・の乳管を切断するものに関しては、全く出ないという訳ではありませんが、やはり授乳量は減ります。
　
乳腺炎や授乳障害を起こす可能性のある、中度～重度(・・)の陥没乳頭の手術は保険治療が可能です(・程度のものは保険適応外)。妊娠する前の早めの治療をお勧めします。乳房の発達が落ち着いてくる10代後半頃から手術は可能です。但し未成年の場合はご家族の同意が必要です。
　
授乳の事等が気になるでしょうから一度診察を受けて、自分に合った治療方法や保険適応治療かどうかを確認した上でどうするか決めても良いと思います。

取／なるほど、10代後半から手術が出来るのですね。それならばいつまでも悩んでいるより早い時期に一度相談してみた方が良いでしょうね。
今回もありがとうございました。

（原口クリニックの場合）

・陥没乳頭※保険適応外料金…… (片側)126,000円　(両側)210,000円
※中～重度の症状は保険適応です。