取材陣(以下、取)/海外で受ける美容外科の手術について教えて下さい。
原口先生(以下、原)/海外での美容外科手術について注意しなければならない事や問題点は、国内よりも多くなります。
■医師と患者の意思疎通の問題
使う言葉が違うので、患者側の希望が正確に伝わりません。ツアー等では通訳がいる場合もある様ですが、それでも微妙なニュアンスが伝わらず希望通りの結果を得られない場合もある様です。希望通りにならず再度手術となれば費用も更に掛かりますし、傷跡は余計に目立つ様になってしまいます。
また、外国語で書いてある説明書や診察室に置いてある資格等も読めず、本当に信頼出来る医師なのかを患者本人が見極めるのはより難しいと思います。
■アフターケアの点
海外で美容外科手術を受けた場合、責任を持って術後処置を行ってもらえるかが疑問です。また帰国した後で何か問題が起きた場合に、海外の執刀医の下へ直ぐに受診しに行く事が出来るのでしょうか?国内の病院では海外で受けた手術内容の詳細や、使用された薬が分からないので(治療院が分からない場合や、情報を提供して貰えない為に)治療が難しくなります。日本の医師と提携していてアフターケアを引き継ぐシステムを取っているのであれば安心かもしれませんが、現実的には外国で受けた治療の後を引き継いでくれる医師はまずいないでしょう。
■国によって美意識や体質が違う点
例えば、白色人種の国では自国の二重の幅を参考に作るので日本での一般的な二重の幅より広く深くなりがちです。他にもアメリカでは何でも大きいものが好まれる傾向にあるので、豊胸手術を受けると日本人の”大きい“という感覚以上に大きく豊胸する場合が殆どです。医師が良かれと思ってやった事でも、患者にとって見れば不満足な結果になる事もあり得ます。
体質の面でいうと、白色人種は黄色人種よりも傷跡が残りにくく、縫合等が多少雑でも全く問題ありません。そのため日本人がアメリカで手術を受けた場合、日本での縫合よりも縫い幅が大きいといった場合が多く、傷跡が目立ってしまう可能性が高いです。
取/なるほど。医師の腕の問題以前に、色々と壁や問題があるのですね。
原/そうですね。「どうせ保険外治療だから価格が安い所で」という理由で、安易に海外で手術するのはとても危険な行為だと思います。
私も以前、「二重が上手くいかなかった・鼻に入れたシリコンが飛び出そうになっていた・手術箇所が化膿したり、皮膚が死んでしまった」といった海外手術での失敗例を数多く見てきました。
海外にもやはり、腕のいい医師はいるし、そうでない医師もいます。それを日本にいながら見極めるのはとても困難です。
ちゃんとした医師をどうやって見極めるのか、治療後の管理や処置はどうなっているのか、よく吟味して海外での美容外科手術を決めて頂きたいと思います。従って、海外で手術を受ける事は患者さんご自身で決めた事ですから、その結果についてはご自身で責任をとる覚悟で臨んで頂きたいと思います。
加えて、ここ数年海外の自称「医師」が日本に来てマンションの一室等で数日間に何人もの患者を手術し、行方をくらますという事例が報告されています。後でトラブルが起きてそこへ出向いても誰も居ない。手術内容や、本当に医師だったのかさえ分からない。日本で診療を行う場合は日本での診療資格を取得する必要があります。殆どの場合は違法行為と考えて下さい。ただでさえマンションの一室での手術は設備の面でも衛生面でも問題があります。常識的に考えて本当に医師であるならば、そんな事は行わないはずです。
『○○(国名)の有名医師が数日間のみの来日!手術のチャンス!!』等という様なチラシや口コミ等の勧誘等には十分気を付けて下さい。
取/そんな話もあるのですね。驚きました!日本の美容外科の医師でさえ気を付けねばならないのに海外での美容外科手術となると問題が多く避けた方が良いですね。
今回も本当に為になるお話、ありがとうございました。
|