取材陣(以下、取)/ニキビはどのようにして出来るのですか。
原口先生(以下、原)/まず、男性ホルモンのバランスが崩れて出来るパターン。これは特にホルモンの分泌が盛んになる中高生に多いです。ホルモンの分泌によって増えた皮脂が毛穴につまり、ニキビ菌が増殖して炎症を起こしニキビになります。
また社会人に多いのが、環境の変化や仕事などのストレスによって出来るパターン。ストレスによって角質が増え毛穴を塞ぎ、それによって皮脂が毛穴に詰まって面皰(白ニキビ)が出来、ニキビ菌が増えて炎症を起こします。
そして、皮フを不潔にしてしまったことで角質や皮脂、またそれを餌にするニキビダニなどが増えて炎症を起こしてしまうパターンがあります。
ニキビは、程度の差はあれども高校生の約90%の人がなるといわれています。また、女性の方が出来る時期は早いですが、ニキビの程度は男性の方が強いです。
取/ニキビを予防する為にはどのようなことに注意したらよいですか?
原/まずは皮フを清潔に保つためのこまめな洗顔。角質・皮脂・ニキビ菌の増加をこれで防ぎます。専用の石鹸もあります。
そして、生活リズムを整えること。睡眠不足・便秘などは肌状態を悪くし、ニキビが出来やすくなります。
また、食事にも気をつけます。一定の見解は得られていませんが、油脂・糖分の多いものや刺激の強い香辛料の過度な摂取は肌に悪影響を及ぼします。
女性はメイクに要注意です。ファンデーションで毛穴を塞いでしまうため、毛穴が詰まりやすくなっています。帰宅後はすぐに洗顔をして、化粧水等で保湿をしておくことが大事です。また毛先の刺激も悪影響を与えるのでヘアースタイルにも要注意です。
皮フが健康であれば、たとえニキビが出来ても期間は短く、痕も残りません。肌状態をよりよく保てるようにしておくことが重要です。
取/では、それらを行っても改善しないニキビの場合は病院での治療になるということですよね?
原/まずは前述の通り、患者さんの生活習慣や食事内容などを確認し、それをどのように改善したらよいのか問診で詳しく確認していきます。そしてニキビの状態を確認し、軽症の場合は面皰圧出し、その他は塗り薬や飲み薬で治療していきます。
薬は、ニキビ菌に効く『テトラサイクリン』系の内服薬や塗り薬、肌状態を保つ為のビタミン剤(B2、B6)がありますので、肌状態を診て処方していきます。また、最近では角質を剥離して排膿を促進させるピーリングを行ったり、漢方薬を処方する病院もあります。
取/なるほど。それではニキビ痕の治療はどのようにするのですか?
原/ニキビ痕はクレーター状になっています。それを、外科的治療で目立たなくするという方法がいくつかあります。
注入法/ニキビ痕の凹み部分にコラーゲンやヒアルロン酸を注入。ニキビ痕の凹みは側面が硬い為、側面の部分は完全に凹みが解消されるわけではありません。その為、この治療法は小さめのニキビ痕によく用いられる方法です。
削皮法/グラインダーやヤスリなどを使ってにきび痕の周囲を削り、凹みをなだらかにする方法。これは皮フを削る為にしばらく(半年ほど)の間、肌が赤みがかった状態になります。女性の場合はメイクでごまかせますが、男性の場合は気になるかもしれません。また、ケミカルピーリングによって全体的に凹みを浅くする場合もあります。
- 切除術/ニキビ痕が集まっている場合は切除して線状のキズ跡にした方がよほど目立たなくなります。
- 多孔性レーザー/最近はこのレーザーによって凹み部分の穴を引き締めるという方法もありますが、効果に個人差があり、治療費が他の方法に比べて高い為、当院では導入していません。
また、ニキビ痕が一部に集中しケロイドになっている場合は、前回ケロイドの項目でお話した『圧迫療法・密封療法・照射療法・外科療法』などで治療していきます。
取/ニキビ痕は全て外科治療なのですね。痕になる前に処置したいものです。
原/ニキビ治療はニキビの解消とニキビ痕を残さないようにすることがポイントです。肌を清潔に保ったりしても治らない場合は、症状の軽いうちに美容外科や皮フ科など専門医の治療を受けて早めに対処することが重要となります。
取/ニキビに悩む年頃のお子様をもつ親御さんは是非お子様に教えて頂きたいですね。
今回もありがとうございました。
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