取材陣(以下、取)／早速ですが、デベソとは具体的にどのようなものですか？
原口先生(以下、原)／元々お母さんとへその緒で繋がっていた部分のなごりがおヘソです。赤ちゃんの時は皆まだ出ています。２歳くらいまでにほとんどの人が陥没していき凹んだ状態になりますが、５％ほどの人がそのままデベソの状態になってしまいます。
取／治療で治す事は可能なのでしょうか？
原／はい、可能です。最近は思春期の中高生が親御さんと一緒にいらっしゃる事が多いですね。「着替えの時に人に見られてイジメの原因になるのでは？」とか「ビキニを着たいけど」など理由は様々です。外国ではあまり気にされませんが、日本では気にする人が多いようですね。
また、あまり知られてはいませんが、「デベソ」は単に皮フが飛び出ているものと臍ヘルニアの２つに分けられます。

取／臍ヘルニアですか！初めて聞きましたが、どのようなものですか？
原／臍ヘルニアとは、赤ちゃんの時におヘソの部分がキチンと閉じきれておらず、腹膜と腸が臍の部分まで飛び出ている状態です。
まれに、そこに腸が詰まってしまってお腹に戻れなくなり（嵌頓ヘルニアと言います）、その部分だけ組織が死んでしまうことがあります。その場合、お腹を開けて腐った部分を取り除く手術が必要になります。

取／臍ヘルニアかどうか自分で確認することは出来ますか？
原／おヘソに指をあててお腹に力を入れた際に、ヘソの底の深部に更にクボミを感じたり、押し返してくる・膨らんだ感じがある場合は臍ヘルニアの可能性があります。臍ヘルニアの場合は保険適応での治療になりますし、一度診察を受けておいたほうが良いでしょう。

取／なるほど。保険適応なのは嬉しいですね。実際の手術はどのようなものですか？
原／基本的におヘソの部分だけの局所麻酔で手術します。お臍がつるっとしていると逆におかしいので、しわになるように上から見て星形に見えるような形で切開します。
皮フが飛び出ているだけの場合はそこをくり抜き、クボミを作り縫合して終了です。臍ヘルニアの場合は切開した後、腹筋から腹膜をはがし中へ押し込んで筋肉を縮めてから縫合します。
雑学ですが、臍相学ではおヘソは上向きの方が運勢が良いと言われていますので、ヘソを縫合する際に星型に切った一番下の山の部分を下に深くへこませて上向の縦長なおヘソになるようにしています。その形がきれいなおヘソだといわれていますしね。

取／おヘソの相ですか、面白いですね。
手術時間はどのくらいですか？また術後についても教えて下さい。
原／まず手術時間は、皮フの突出のみの場合で20～30分です。臍ヘルニアの場合は、腹筋と腹膜の着き具合や皮フの厚みによって手術法も変わりますのでまちまちですが、大体１時間程度です。
術後は、おヘソの中に薬を塗ったガーゼを付けた状態で帰宅出来ます。翌日に経過を見るために一度診察をして、後は自宅で毎日おヘソを綿棒で消毒してもらいます。そして、１週間後に抜糸をして終了です。

取／なるほど。今回も勉強になりました。ありがとうございました。