取材陣(以下、取)/まず日常生活で、巻き爪の原因になることについて教えて下さい。
原口先生(以下、原)/母趾の付け根の関節(中足骨の骨頭)が外側へ突き出 して、母趾が第二趾に「く」の字に曲がってしまい、痛みを生じるものです。これもまた、前回の『巻き爪』同様、下駄や草履を履いていた頃には無かったもので、 靴を履くようになってからの病気です。
取/これもやはり、足に合わない靴などが原因なのですか?
原/そうです。尖端のとがった靴や、かかとの部分が高いヒールの靴などで足先に負担が積み重なって外反母趾になります。ですから、ほとんどが女性ですね。
取/では、治す為にはやはりまず靴から、ですね。
原/そうですね。出来るだけ幅の広い靴やスニーカーなどを履くようにする事。そして、母趾と第二趾の間に綿を挟んで、矯正するのも手です。最近は、いろ んな矯正器具が発売されているので、そういったものを使って、日常から心掛ければ、ひどくなる事はないと思います。
取/初期段階での対応が大事と言う事ですね。それでも、痛みがあって病院に来た場合は、どのような対応をされるのですか?
原/最初は、前述のようなアドバイスと矯正をしていきます。それでも、 「痛みがひどくて‥」と言う場合は、手術という方法もあります。
取/どのような手術ですか?
原/クリニックでできる治療は足の付け根の出っ張った部分の骨を少し削って平らにします。手術時間は30~40分の日帰り手術です。そして、10日~2週間後の抜糸までに2~3回程来院してもらい、術後の経過の確認や消毒をして様子をみます。
抜糸後は傷口が固いうちは靴と触れると若干痛みを伴うので、傷口に絆創膏などを貼ってクッションにして貰っています。
2つ目は、母趾が第二趾に乗ってしまってるというような強度の外反母趾で、骨を少し削るだけでは治療できない場合。これは、骨の曲がっている部分を切って 繋げ直し、骨がくっつくまでその部分にワイヤーを通しておかなくてはなりません。状態に応じて腱も処置が必要になります。こういった重度なものに関しては、より専門的な入院設備のある整形外科を紹介してます。
取/なるほど。重症となる前に日常的な予防が大事ですね!では、『魚の目 ・タコ』はどうでしょうか?
原/これらも、足の変形や歩行の問題で靴が合わなくなったりしてそのまま合わない靴を履き続けている事が影響している事が多いです。なので、女性患者さんも増えています。いつも圧力が掛かる部分が次第に厚く硬くなっていき、触れると痛みが生じるようになり、次第にその部分が『魚の目』や『タコ』になるんですね。特に魚の目は、中央の 『眼』のような芯の部分が神経を圧迫するので余計に痛みが伴います。こうなると1回では 治療できません。根気よく、硬くなった部分にスピール膏などを貼って角質を軟化させ少しずつ削っていく事によって治療していきます。1個でなく何個もできる人もいますので根気良く治療を続ける事が大事です。
取/酷くなる前にセルフケアでなにか出来る事はありますか?
原/お風呂に入って柔らかくなったところで、軽石で擦る、角質が柔らかくなるクリームを塗るなどの対処で徐々に改善されていくと思います。これは、魚の目だけでなく、過度な負担で厚く硬くなっている部分のかかと等にも有効です。
それでも追いつかない場合には、病院で削るという治療になってくるかと思 います。
取/男性と女性の違いはありますか?
原/履く靴の特性上、出来るところが違いますね。女性は先が狭い靴が多いので幅的な圧力が加わり足底だけでなく趾の間に出来る事が多く、男性は長時間歩く事によって出来る為に足底や趾腹に出来る事が多いようですね。またタコは勉強のし過ぎでできるペンダコやスポーツ特に空手家にできる拳ダコや野球選手の手のひらのバットダコなどに代表されるように角質の増殖によるものですが痛みはないかあっても軽度のため特に積極的な治療は必要ありません。女性で多いのは座りダコのようなくるぶしなどに見られるもので足を綺麗に見せたいと言う理由での治療がほとんどです。
取/なるほど。出来れば手術は避けたいので、どちらもセルフケアで予防していきたいものですね。ありがとうございました。
トリビア豆知識
私達が一般的に言う『魚の目』医学的な専門語では『鶏眼』と書くのだそう。なんで、サカナとニワトリなの?なぜこの違いが生まれたのか‥不思議ですね(笑)
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