取材陣(以下、取)／前回お伺いした、バッグを入れる方法で豊胸する場合の実際の手術前後の流れを教えて下さい。
原口先生(以下、原)／まず、相談からです。
患者さんの希望（大きさや形の希望等）を聞き、それに合せて考えられる手術方法それぞれのメリットとデメリットの説明、術後の状態等を説明します。
そういった中で患者さんの希望に合せてどの材質でどういった手術が一番いいのかをじっくり相談します。
またシリコンバッグは海外からの輸入になりますので届くまでに1週間（特注の場合は1ヶ月）かかることもあり、しばらく自分で考える時間を持ってもらいます。

取／やはり、この場合も本人が納得いくまで十分に考慮する時間を持つのですね。
次に、その手術自体の流れについて詳しく教えて下さい。
原／まずは麻酔です。手術方法や健康状態を見ながらの患者さんの希望で局部麻酔や全身麻酔等を併用してやっていきます。
基本的に胸の下を切る手術法の場合は、剥離(はがす)部分が少ないので局部麻酔の場合が多いですね。
筋肉の下に入れる場合は全身麻酔の希望が多くなります。

取／手術時間はどの位ですか？
原／胸の下を切る場合は、両胸で1時間半～2時間程。
乳輪辺縁や脇を切る場合は、およそ2時間～2時間半位です。
手術後はしばらく圧迫しておく必要があるので、抜糸までの1週間は胸に包帯を巻いておきます。
また、脇の下を切る手術法の場合は乳房の下のほうに血が溜まる場合があり、胸の下から血液を逃がす為のドレーンという管を1日通しておく必要があります。
そして1週間後の抜糸が終わった後は、スポーツブラジャーで軽く固定しておきます。ワイヤータイプのものだと傷口に当たったり、無理に上に持ち上げてしまう事で形が悪くなる場合がある為です。
キズが落ち着くまでの間になりますので手術方法によっても違いますが、大体2～3ヶ月の間はスポーツブラでいるのが理想です。
ちょっと外出で‥という場合は外出中のみ普通のブラジャー、家に帰ってからスポーツブラにしてという形で、と相談しながら対応していきます。

取／なるほど、冬の間に豊胸をしておきたいという患者さんが多いのも納得ですね！　自宅でやっておくべき事はありますか？
原／スムースタイプバッグの場合はカプセルが縮んでボールの様な形の硬い胸になる事があるので、カプセル拘縮予防の為、術後3～6ヶ月位はマッサージする必要があります。
ザラザラタイプは縮みを防ぐのでマッサージは不要か時々する程度で構いません。

取／マッサージは
1日に何回で、どのようなマッサージをするのですか？
また、痛みはありますか？
原／スムースタイプを使用した場合、私は術後10日目位 から1日に3～4回5分ぐらいバッ グを外側から内側へ、内側から外側へ、そして上から
下へ動かすようにマッサージして もらっています。
初めのうちは少し痛いかも知れません。

取／抜糸後は、何かありますか？
原／抜糸から1週間後に傷口とカプセル拘縮のチェックとマッサージ指導。
そして1ヵ月後、3ヵ月後に傷口の経過チェック。
殆どの場合傷口が落ち着けば終了ですが、当院では1年に1回定期検診の為に通院してもらっています。また10年過ぎたら年に一度レントゲンやＣＴ撮影をして状態チェックをしておくと良いでしょう。

取／なるほど。万が一バッグが破れてた場合や、形が崩れてしまっていた場合は早く発見し対応が早いほうが、より安心だという事ですね。
今回もありがとうございました。次回は、その他の胸の手術についてお伺いしたいと思います。

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