取材陣(以下、取)／『胸の美容外科』で、一番多い希望、悩みはなんですか？
原口先生(以下、原)／「胸を大きくしたい」「下がった胸を上に上げたい」がやはり一番多いです。次が「大きい胸を小さくしたい」、そして「左右の胸の大きさ、形を揃えたい」「陥没乳頭」等ですね。
「胸を大きくしたい」という『豊胸』でも、以前は「小さい胸を少し脹らみがある様にしたい」だったのが、最近ではもともと胸が大きい人が増えてきた為「小さい胸をより大きく豊満な胸に‥」という希望が多い傾向があります。
また、「下がった胸を上に上げたい」という『乳房下垂』は、授乳や加齢などの影響で胸が下がってきた為に上に上げて欲しい、ハリをもたせて欲しいという希望が多いです。

取／この2つは、同じ手術法なのですか？
原／いえ、それぞれ違う方法で治療します。
豊胸の場合、『胸に更に脹らみをもたせる為に、何か代わりの物を入れてボリュームを出す』という手術になります。
その代わりの物はどの様な物かというと、一番安全だと言われている物が『生理食塩水のバッグ』。
それと現在多く使われているのが『コヒーシブシリコンバッグ』。これらが主流です。

取／『生理食塩水』と『コヒーシブシリコン』の違いは何ですか？
原／例えば、万が一バッグが破れて漏れ出したとしてもより安全性が高いのは点滴にも使われている生理食塩水のバッグと言われています。しかし、中身はほとんど水と同じである為に袋が硬く、触感が｢ペコペコ｣として硬い感じになります。
コヒーシブシリコンバッグはシリコンがゼリー状になっているバッグなので、破れても従来の液状のシリコンバッグと異なり液体の様に漏れ出てしまうという事はほとんどありません。
また触感も柔らかく違和感が少ない為、どちらかというとこちらを希望される方のほうが多いです。

取／バッグは胸のどの部分に入れるのでしょうか？
原／乳腺と大胸筋の間に入れる場合（※図1）と、大胸筋の下に入れる場合（※図2）があります。これは、患者さんの体型や生活習慣に合わせて相談しながら決定します。
ひとつ例をあげると、スポーツインストラクターの女性が、初め大胸筋下にシリコンバッグを入れていたのですが人前でレオタードを着て大胸筋を大きく動かすという動作をした際に胸が不自然に動く為に乳腺下に入れ直したという事もあります。

しかし、生理食塩水のバッグを乳腺下に入れた場合、硬かったりペコペコした感じを触れる際、感じる事があります。また表面のツルツルしたスムースタイプのバッグを使うと、入れる際の傷は小さく済むのですが、カプセルを作って不自然に胸が出っ張ってしまう（痩せた方だと特に）という事もあります。

取／バッグは、どこから入れるのでしょうか？
原／（1）脇を切って入れていく方法、（2）乳輪に沿って切って入れる方法、（3）乳房下溝（胸の下の溝）を切って入れる方法の大まかに分けて三つです。
これは患者さんの希望や入れる材料によって変わってきます。
例えば、生理食塩水のバッグだと、小さい切開（入口）から折り畳んだ袋だけを先に入れて後から生理食塩水を注入すれば良いので、キズが小さくて済み、目立たない脇や乳輪に沿って切った所から入れる事が出来ます。

しかし、カプセルを作りにくい表面のざらざらしたテクスチャータイプのゼリー状のシリコンバッグだと入れる為の入口自体を大きく切る必要がある為に、乳房下溝を切る事が多いです。
また、脇から切る場合、どうしても血を止め難く胸の下のほうに溜まり易い為に手術後1日は溜まった血を外へ逃がす為のドレーンをいうチューブをつけておく必要があります。
この様に方法やバッグによって、それぞれにメリット、デメリットがありますので、材料や量、形の希望等をしっかり相談し一番自分に合ったもの、方法を決めていく事が必要です。

取／なるほど。では次回は、実際に豊胸手術する際の流れや、過剰広告による注入での豊胸のトラブルに関してお聞きしたいと思います。ありがとうございました。

豊胸術（手術料）…735,000円　　（別途材料費）―ワンペア（2つ）で
※生食バッグ※コヒーシブシリコンバッグ　150,000円～200,000円前後