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vol.18 保険のウラ話:ガン保険について

 最近はガンについて必要以上に不安をあおる保険広告が目に付きます。
少しでも消費者の不安に訴えかけて、ガン保険の販売本数を伸ばしたい保険会社の意向はわかるものの、
そこ迄あおらなくてもいいのではという内容も多い気がします。

▼ガンは高齢者に多い病気

 例えば「今や2人に1人がガンになる時代」というよく見かけるフレーズ。根拠となるデータはがん研究振興財団が発表している「がんの統計」ですが、下記の図表の通り生涯を通じて2人に1人がガンになるのは男性のみ。女性の場合は生涯を通じて約4割に留まっています。

 このデータからわかるガンになる確率は、50代迄は男女とも1割以下、60代でも2割以下。

 
一方、保険会社の方は保障期間が最長で70歳迄という商品でも「今や2人に1人がガンになる時代」というフレーズをパンフレット等に記載し、積極的に商品販売しています。70歳つまり男女共にガンになる確率が2割以下の時期迄しか保障がないにも関わらず、です。ある意味「誇大広告」とも言える表現だと思います。

▼先進医療を受ける確率

 最近は高度先進医療に関する保障があるガン保険が人気を集めています。重粒子線治療(約310万)等の、高額な医療費自己負担が発生する事例を持ち出す事も珍しくありません。

 
しかし、重粒子線治療は進行していない限定したガンの場合に有効で、眼球内の悪性黒色腫や肝細胞ガン・前立腺ガン等に有効な治療方法。多くのガンに有効な治療方法ではないので、受診する可能性は相当低く、その為年間で重粒子線治療634件(平成20年の厚生労働省データ)しか行われていません。

 
それでも先進医療の保障は保険料が数十円から100円前後しか掛からないので、これからガン保険に加入する方は付帯しておいて構わないでしょう。但し、すでに加入しているガン保険を契約年齢が上がるデメリットがあるにも関わらず、これ程受診確率の低い保障の為に切り替えるのはいかがなものでしょうか。

▼ガン保険の加入は見極めが肝心

 勿論、他の病気やケガ等と比較して、ガンにかかるリスクがある程度高い事は事実です。
但し、ガンの場合でも健康保険の高額療養費制度は使えるので、特別高い治療費が必要になる訳ではありません。
医療保険でカバーする事や、預貯金等で備える事を含め、ガン保険の加入の必要性を慎重に見極めてもらいたいものです。

次回は『更新型保険』についてご紹介します。


協力:FPオフィスクライアントサイド ファイナンシャルプランナー久保逸郎
福岡市中央区大名2-10-31ネオハイツ天神1004 TEL:092-716-3487

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