母乳育児を成功させる為の"いい病・産院を選ぶ4つの目安" 前編

母乳育児を成功させる為の”いい病・産院を選ぶ4つの目安” 前編

 自宅出産や助産院で出産をする又は希望する方は、「母乳育児の指導」がしっかりなされると思うので問題ないと思うのですが、読者様の多くは病院や産院で出産されるのではないかと思います。
 「母乳育児が成功するか否か」は、どんな病・産院で出産するかによって大きく左右されている様です。
 今回は母乳育児を成功させる為の”いい病・産院を選ぶ4つの目安”を紹介します。

1.出来るだけ母子同室
 母子同室とは、24時間母と子が一緒の部屋で過ごす事が出来るシステムです。赤ちゃんがおっぱいを欲しがったら、いつでもすぐに飲ませる事が出来ます。母子別室よりも赤ちゃんのペースが早く掴む事が出来ますし、母乳にもとても良い環境です。又、赤ちゃんもお母さんと一緒にいる安心感から、よく眠ってくれる様です。
 もし母子別室の病・産院でも、赤ちゃんが泣いたら夜間でも赤ちゃんを部屋に連れて来てもらう様に妊娠中からお願いしておくと良い様です。
2.出産直後~30分以内に2.授乳出来る
 最近は出産直後に母乳を飲ませる病・産院が増えている様ですが、出産直後~30分以内に授乳する事が母乳分泌に大変重要な役割がある事はVol.
36でも紹介しました。又、無菌状態の子宮から出て、お母さんの肌にぴったり触れる事により、お母さんの皮膚にある雑菌をもらい、それによって危険な病原菌の増殖を抑える事が出来ると言われているそうです。それだけではなく、出産直後に赤ちゃんを触ったり抱いたり、見つめ合う事は、子宮の収縮もよくなって、体の回復も早まるのだそう。
 もし出産直後にこれらが出来ない場合でも、出来るだけ早くから母乳を飲ませられる様、妊娠中に医師や助産師に相談するのが良い様です。
(次号に続く)(*にーにゃ編集長jeek)

※お知らせ…妊娠が分かって、自宅出産をする事を決め、自宅出産を引き受けてくれる助産師さんを探す所から、出産後の母乳育児、母乳が赤ちゃんに与える影響、母乳の素晴らしさ等を自分の体験をもとにつらつらと書いて参りましたが、気付けばスタートから3年以上の月日が経っていました。私が経験して、皆様に伝えられる事の第一段階の殆どを、今ようやく誌面で紹介出来たかなぁ、何て思います。 ですので、次号の『母乳育児を成功させる為の”いい病・産院を選ぶ4つの目安”後編』で、このコーナーに一区切りつけようと思っております。又、第二段階として再開する時は、「抱き癖が付く、寝る子は育つ」等、昔から言われている事の間違いや、母乳が足りてないのでは…と思い込んでいる多くのお母さん、夜泣き、そして離乳食、トイレトレーニングetc.そういった部分も紹介できたらな、と思っています。
 次号で最終回の「妊娠・出産の前に是非知っておいて欲しい事」、最後迄どうぞお読み頂けると幸いです。

参考文献
●母乳の方が楽だった?!
おっぱいでらくらくすくすく育児
著/金森あかね監修
発行者/北野寿美代著
発行所/メディカ出版
●改訂版 だれでもできる母乳育児 
著/ラ・レーチェ・リーグ・  インターナショナル
発行者/長谷川素美著 発行所/メディカ出版

母乳育児を成功させるための10カ条

1.母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべての保健医療スタッフに周知徹底しましょう。

2.この方針を実践する為に必要な技能を、すべての関係する保健医療スタッフにトレーニングしましょう。

3.妊娠した女性すべてに母乳育児の利点とその方法に関する情報を提供しましょう。

4.産後30分以内に母乳育児が開始できるよう、母親を援助しましょう。

5.母親に母乳育児のやり方を教え、母と子が離れることが避けられない場合でも母乳分泌を維持できるような方法を教えましょう。

6.医学的に必要でない限り、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう。

7.母親と赤ちゃんが一緒にいられるように、終日、母子同室を実施しましょう。

8.赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけの授乳を勧めましょう。

9.母乳で育てられている赤ちゃんに人工乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょう。

10.母乳育児を支援するグループ作りを後援し、産科施設の退院時に母親に紹介しましょう。

(WHO/UNICEF: the Ten Steps to Successful Breastfeeding,1989)

※ユニセフとWHOは、1989年に「母乳育児の保護、促進、そして支援-産科施設の特別な役割」と題する協同声明を発表し、世界の全ての産科施設に対して「母乳育児を成功させるための10カ条」を守る様呼びかけました。 又、1991年には「10カ条」を完全に実施する産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院」に認定する制度を設けています

2009/06/08