初めての妊婦検診

初めての妊婦検診

 待合い室で、名前を呼ばれるのを待つ事十数分。尿と血液採取、血圧・体重・お腹周り測定。初めての事なので、キンチョー気味。それらが終わると別室の診察室へ。
横になり、ショーツを恥骨ギリギリまで下げて、お腹にゲルを塗られたら…いよいよお腹の子と、初対面。
エコーをへそ下辺りにぐりぐりっとあてると、モノクロのモニターには小さな影が写し出されています。その瞬間、全身鳥肌が立ち、いつの間にか涙がにじんできました。「わ…」。


 それまで、生理が止まり胸が張って大きくなった以外は妊娠いや自分に宿った新しい「命」に対して、何の実感もなかったのが、初めて「私のお腹に”私の子“がいる」。そう実感した瞬間でした。
 ドクターは「これが背骨、これが心臓で…」とモニターを指しながら手慣れた説明をしてくますが、見る限りどこがどの部分等は全くわかりません。でも「私のお腹の中で懸命に、育ってるんだ」。と十分感じ取る事は出来ました。
『ビデオ持って来られました?』「ビデオ?いえ??」『次持って来られたら録画しますから』「あ、はい…」ビデオ撮ってくれるなんて当然知らなかったので、(っていうか、これって初産の人でも知ってんの?)「知ってたら絶対持って行ってたのにねぇ!」とオットとブツクサ言いながら、診察室を後にしました。
 『次は4週間後に来てください』という指示の後、再度身体測定を行った部屋へ移動すると若いフレッシュな看護師さんから今後の予定や説明を聞く。この時点迄、「自宅出産をしたい」という事は、一言も伝えていなかった。看護師さんの話は続き、「いつ聞かれるんやろ、いつ言えばいいんかな。いや、いわん方がええんかいな!」この事だけがぐるぐる頭の中を駆けめぐっている。
そして看護師さんにとって、日常ごく当たり前の確認事項へ入った。
「…それから、出産はこちらでされますか?実家に帰ってなど予定はありますか?」。
来た。少し間を置き、
『あの…じ、自宅出産も考えているんですが…』。
看護師さんの表情が、明らかに変化した。
一瞬戸惑い、それが困惑の表情へ変わる。
『…え。あ…ちょ、ちょっと待っててくださいね』そういって、この場から逃げ出すようにばたばたと部屋を出ていってしまった。
「あいた、しまった。言わんが良かった!とりあえず嘘ついて”はい“って言っとくべきだった!!」そう一人悔やんでいると『失礼します』とキリリ、40代位の女性が部屋へ入って来た。
名札には役職と「助産師○○」とあり、さっき迄の”フレッシュ看護師“とは比べ者にならないくらい、ベテランオーラが出ている。「…追い返されるんかいな」。
(文責 編集長Jeek)
(つづく)

2007/10/01