お、鬼っ(T_T)

お、鬼っ(T_T)

 破水してから時間を追うごとに、長い間隔を空けて周期的な鈍い痛みがお腹に来る。味わった事のない痛み。
 最初はうんうん唸る程度だったのが、徐々にうめき声に変わっていく。痛みの周期が少しずつ短くなり、強くなってくる。


 助産師さんが到着し、今迄の状況を夫に確認した後、楽な体勢へと導いてくれる。四つん這いの姿勢になり、ソファーの座部分に上半身を乗せたり、夫がソファー代わりになってひざへ同じような体勢で体を預ける。…のだが、ハッキリ言って何をどうやっても痛みは一向に変わらない(-_-;)。そうしていると今度は吐き気が襲ってきて、「おう吐」の嵐。何も食べてないので、胃は空なのだが吐かずにはいられない。おう吐袋に向かってゲーゲー言ってると再び痛みが来て…をくり返す、最悪の状態。おう吐が落ち着いて来たと思ったら、次は想定外の深い睡魔が。信じられないと思いますが、陣痛が来て去った後、次の陣痛迄に”間“があるのですが、その間に意識が遠のき”ストッ“と淵に落ちたように記憶が消える。一瞬にして「昏睡」状態に陥るのだ。『jeekさん、jeekさん!寝てはダメですよ!!』。その都度、助産師さんに揺り起こされ「はっ」と意識が戻り、暫くするとまた陣痛が来て「ぅうあぁあっ!!!」…。の繰り返し。もうそれは「地獄の苦しみ」としか言いようがありません。
 経験した事ない痛みが周期的に来て、それをどれ位の時間我慢すれば「その痛み」から解放される等、分かるはずもなく自然に、それこそ赤ちゃんのペースに任せるしかない。(病院なら”陣痛促進剤“を使ったり、会陰を切って出産を早めたりするんだろうけど)
 陣痛の痛みについて正直に書くと、出産未経験の読者様にはただ恐怖感を与えるだけになってしまい申し訳ないと思うのですが、私が体験した陣痛と言えば「終わりの見えない苦しみ」。
 まれに「初産なのに、数時間で産まれた」という方がいるが、信じられないし羨ましい限りである。
 陣痛が始まってから夫がずっとビデオを回していたのですが、この情景を延々撮ってテープ数本終わりました(苦笑)。

無理って…そんなの!

 終わらない苦しみと痛みにのたうち回っていると、もう夕方になっていました。午後3時か4時頃だったと思うのですが、助産師さんが耳を疑うような事を言いました。「まだ全然降りて来てないようなので、私は一旦帰りますね。歩くとその振動で降りて来るから、散歩して頂きたいのですが無理の様でしたら1~2時間ドライブに行かれて下さい。車の振動でもいいので。では、また連絡下さいね」。
「…!?」。
 一体この人は何を言ってるんだろう?ドライブ??立つ事も歩く事すら出来ない位、痛くて苦しいのに!一旦帰る?何で??意味がわからんっ!! (T_T)私の頭の中はもうパニック状態。「どうしてですかっ、無理です!!側にいて下さいようっ」そう言葉にしようとしても、その気力をしのぐ痛苦しさに唸るのが精一杯。
 助産師さんは「では、気をつけて行かれて下さい。戻られたら電話下さいねー」と言って車で帰って行きました。
「お、鬼っ(TOT) !!」心の中で叫んだのは言うまでもありません。
 それから私は夫と母に支えられながら車に運び込まれ、「運転‥夫、助手席‥父、後部座席‥母、その膝を枕に呻き横たわる私」の4人で自宅から片道1時間弱はあるであろう「宇美八幡宮」(知らなかったが、安産の神様だそう)へ無理矢理ドライブに出掛けたのであった…。
  (*にーにゃ編集長jeek)

2007/10/01