自然の不思議…満潮・干潮と生・死

自然の不思議…満潮・干潮と生・死

 とても自力で普通に歩けないが為に、母と夫に抱えられながら車の後部座席に乗り込み、(というより”押し込められた”)自宅から片道一時間弱の宇美八幡宮にドライブ。出発時はまだ明るかったが到着した頃にはもう真っ暗になっていて、いつの間にか雪が降り始めていた。
 「着いたよ~♪境内迄…行けんよね、待っとくやろ?じゃあお参りしてこっかね!」電灯もなく真っ暗でだだっ広い神社の駐車場には、私達の車含め3台位しかない。舞う雪がいかにも寒々しい中、三人は楽しそうに境内に消えて行った。


 私は相変わらず後部座席で陣痛の波と共にうめき声を出し、身をよじって苦しんでいた。 どれ位の時間が経ったのか分からぬまま、三人が戻ってきた。「いやぁ~、境内は寒いねぇ!お参りして来たよ。さー、帰ろっかねぇ」。(は、早く帰りたい…)私はそれしか考えられない。にも関わらず「んー、折角こっち来たからちょっと○○さん(↑夫)に案内しよっかね!」と地元に帰って来た事で浮かれたのか、オヤジがワケのワカらん事を言い出し、帰り道と逆の方向へ車が動き始めた。(クソジジィ…こんな時に余計な事を)そう思うが痛みと苦しさで声にならない。結局それから30分位の「オヤジの地元プチ観光」後、やっと市内へ向かう。
 …が、世間は帰宅ラッシュのせいかかなり混んでおり、結局家に帰り着いたのが19時過ぎ。落ち着かないしお風呂に入っていた方が楽な気がしたので助産師さんの到着を待たずお風呂に入る事とした。
 20時頃に助産師さん到着。「どうですかぁ~」と早速お腹に携帯用心音機(?)をあて、赤ちゃんの位置や状態を確認する。 「”グォングォングォン…”これが赤ちゃんの心音ですよ。今ここ辺りに居ますから、まだまだですねー。今日の満潮は何時かしら?もしかしたらその時間に合わせて出て来るかもねぇ…」
 『満潮が関係あるんですか?…確かに人が死ぬ時は干潮の時が多いって聞きますよね…。』 助産師さんから思わぬ”トリビア”みたいな話を聞き「へぇ!!」と関心しながら早速夫に新聞で本日の満潮を調べてもらうと、「23時42分ってよ」。
 もし本当にそれに合わせて出てくるのであれば…まだあと4時間弱もある。『よ、4時間後…。誰かウソと言って…(T_T)』。
(*にーにゃ編集長 jeek)

2007/10/01